どくぜんてきな、ほんだな

 読んだ本に値段をつけるブログ。
 評価が1万円なら、1万円出しても読みたいということ。
 ほとんどの本に定価以上の価値があると考えているので、基本的には定価を最低ラインとして主観で値付けします。
 逆に言えば、ほとんどの本には定価に見合う面白さを期待しているともいえます。定価以上の値段をつけている時は、期待以上の本だったということです。
 本の内容にはあまり触れません。メモ的な意味合いが強いブログです。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
07年11月の本
JUGEMテーマ:日記・一般


11月に読んだ本は19冊。

当たりが幾つかあって、

『小春日和』 金井美恵子
『探偵伯爵と僕』 森博嗣
『妖怪の檻、妖怪の理』 京極夏彦
『ハル、ハル、ハル』 古川日出男
『ブラックペアン 1988』 海堂尊

が個人的には80点以上でした。当たり率も高くて、良い読書の秋でした。

どれも中々の良作で一番は決めづらいのですが、ブラックペアンか小春日和かなあ。
以前ジェネラル・ルージュの凱旋を月の本にしているので、今回は譲歩して金井美恵子『小春日和』に決定。
| きのこ | 月の本 | 21:17 | comments(10) | - |
きのう何食べた? 1 (1) (モーニングKC)
JUGEMテーマ:漫画/アニメ


 評価は2800円。

 几帳面な料理好きのゲイが、同居相手に毎日手料理を食べさせる話。

 すごいっす、よしながふみ。漫画として85点、レシピ集として90点の合計175点の本です。
 まず、漫画としては非常にシンプルな構成ですが、ツボを抑えてます。几帳面というか神経質でツンな筧と、へたれでデレな矢吹の組み合わせは、ありがちというよりも王道と評価したい。絵も上手、特に料理の描写が実に美味しそうで凝ってます。トーン何種類も重ね貼りしてるし。

 レシピ集としては、おふくろの味というか専業主婦の味を詰め込んだ渋い内容です。出てくる料理は大体和風で、しかも経済的。料理の手順とか材料のチョイスの仕方もすごく自然に漫画に落とし込んであって、クッキングパパとか美味しんぼみたいなわざとらしさがないのが凄い。

 普段から相当料理していないと書けない内容だと思うのですが、いくつも連載を持つ漫画家なのにどうやって時間をつくってるんでしょうか。そこが1番凄い。
| きのこ | コミックス | 02:23 | comments(1) | - |
世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス
JUGEMテーマ:小説/詩


 評価は2200円。

 タイトルが素晴らしいのと、新潮クレストなので購入しました。
 スウェーデンの田舎でロックに目覚めた少年があほなことを一杯する話です。

 人口900万人のスウェーデンで75万部売れた本らしいのですが、物凄くシュール。ところどころデッサンが狂った絵画とか、ドラムがやたらと走ってる音楽みたいな印象を受けました。そういうものとして違和感を楽しむことも全然ありですが、このシュールな本が大ヒットする国スウェーデンは恐ろしいです。

 そういったシュールさがどこからくるかというと、勿論作品そのものが持っているシュールさが5割、翻訳上の問題に起因する部分が5割ぐらいではないかと思っています。殆どの読み手はスウェーデンの歴史的・民族的・政治的背景など知らずに物語りに入るわけで、事前知識が無くても分かりやすいように訳そうとして逆に分かりにくくなってしまったパターン。
 訳は決して下手ではないし、論理的跳躍ぶりが作品を結果的に作品を引き立ててはいるのですが、好みは分かれるでしょう。
| きのこ | 小説 | 02:05 | comments(0) | - |
少し変わった子あります
JUGEMテーマ:日記・一般


 評価は1000円。

 これだけ筋が説明しにくい小説も珍しいかもしれません。
 主人公の大学の教授がある料理屋に通う様子を幾つかの短編に落とし込んだ本です。その料理屋というのが、メニューも無く、店の名前も決まっておらず、場所さえも毎回移動するという奇妙な店。しかし何故か何度も通いたくなってしまうその店の魅力を、主人公がひたすら分析するというお話です。

 と説明したわけですが、この説明はしっくり来るものではありません。というか、どんな説明をしてもこの物語の20パーセントぐらいしか切り取ることが出来ません。筋とかではなく、そういった質的な特徴を評価したいです。

 おそらく、その説明不可という特徴は小説の中で「料理屋のことを説明するのは不可能だ」と何回も呪をかけられたからでしょう。
| きのこ | 小説 | 23:36 | comments(0) | - |
翻訳家の仕事 (岩波新書)
JUGEMテーマ:日記・一般


 評価は定価どおり。

 現在活躍している翻訳家が各々の翻訳家業にまつわるエピソードを語るエッセイ集。

 「色んな人が書いたものを、何となくテーマがかぶっているので集めてみました」的新書です。帯には「当代きっての名訳者37人が勢ぞろい!」と書いてありますが、まさに勢ぞろいさせただけでした。本としてのまとまりは無いに等しいです。

 一方で、翻訳家は皆一様に引き出しが非常に豊富だなと感心しました。彼らは「何を訳すか」を決めるために、自分の専門分野の知識を常にアップロードしつつ、現在の市場の趨勢にも目を配っているわけで、アウトプットだけでなくインプットが非常に多い職業なわけです。
 37人全員が何かしら自分の知らない世界を見せてくれて、刺激にはなりました。
| きのこ | その他 | 23:21 | comments(0) | - |
小春日和(インディアン・サマー) (河出文庫―文芸コレクション)
JUGEMテーマ:小説/詩


評価は1500円。

私大に合格し東京に出てきた女の子が、小説家のおばさんの家に居候してダラダラする話。

最初の30ページぐらいの印象は、「久しぶりに実力のある作家に出会ったなあ」というもので、それは読み終えるまで全く変わりませんでした。まだ一作しか読んでませんけど、コンスタントに80点の作品を書ける作家さんだという予感がします。テストを受けたら、良以上は確実で、半分ぐらいは優みたいな。


 上記のあらすじでは全くこの本の魅力が伝わりませんが、ペダンティックな材料が非常に機能しています。いきなり蓮見重彦を引用してきたり、ロダンの記号論を挿入したり。
少なくともこの小説に関しては、ペダンティックに書くということは知識をひけらかしたいという青臭さを書くこととしても効果的でした。
 
 あと、『プレジデント』を読む人を如何わしいと思う主人公の感性には大変共感できます。あまり教養が無い田舎の両親との思考モデルの違いにうんざりするところとかも。世を拗ねることの素敵さ。

 ちなみに斉藤美奈子が解説を書いていましたが、これがかなり力を入れて書かれたのであろう代物で、素晴らしく的を射た内容でした。こちらも80点。
| きのこ | 小説 | 00:17 | comments(0) | - |
片眼の猿 One‐eyed monkeys
JUGEMテーマ:小説/詩


評価は定価どおり。

帯に大森望さんが「完全回答0%!」と書いていて、どんなもんかと思って読んだのですが、確かに完全回答は難しいかもしれません。が、回答率90%なら30%ぐらいの人に可能かもしれません。
殺人事件自体はたいしたトリックも無かったのですが、本筋とは無関係なところでいくつか叙述トリックが使われていました。作者は明らかに本筋以外の叙述トリックに力を入れてるのですが、読者は殺人事件部分のトリックに期待しているわけであって、ミステリとしては外道かなあと感じました。
叙述トリックをいくつも作品に織り込むのはかなり技術がいると思うのでその点は評価しますが、やはり殺人事件そのものをしっかりと謎めかせる為に使ってほしいです。

あと、小説としては決して上手くないですね。一読してキャラクタの行動に作者の意図が透けて見えます。
| きのこ | 小説 | 00:36 | comments(0) | - |
少女地獄
夢野 久作
角川書店
¥ 504
(1976-11)
JUGEMテーマ:小説/詩


評価は800円。

妄想癖を持つ看護師が、自分の妄想に取り殺された事件を書簡形式で書く短編他。

なるほど、綾辻行人とか法月倫太郎とかはこういう風に耽美したいのね、と納得しました。古き良き耽美。妄想に取り殺されるというモチーフが、気が触れてて良いですね。
読み手の問題なのですが、夢野久作が書いたと認識してしまうだけで、現代小説の書き手が書いたものよりも良く古びて見えてしまいます。
| きのこ | 小説 | 00:21 | comments(0) | - |
よろづ春夏冬中 (文春文庫 な 44-4)
JUGEMテーマ:小説/詩


 評価は950円。やおい短編集。

 長野まゆみは初読ですが、少なくともこの作品に関しては「古き良き」という形容詞が合う気がします。ストーリー展開とかキャラクタの思考とかもそうですが、「春夏冬」と書いて「あきない」と読ませる言葉のセンスとか。

 やおいと言ってもキス程度で物語は終わるのですが、そこが良いですね。
| きのこ | 小説 | 00:07 | comments(0) | - |
探偵伯爵と僕 (講談社ノベルス モF- 40)
JUGEMテーマ:小説/詩


 評価は1800円。

 主人公「僕」が失踪する友人達の謎を探偵伯爵と解決するミステリ。

 前半はいかにも森博嗣らしい言葉尻ユーモアが満載で、「国語のテストで『こしたことはない』という表現を使った文章を作れという問題が出たので、『朝、お母さんを起こしたことはない』という文章を作ったら×だった」というのには笑いました。

 ほのぼのとした展開の前半とはうって変わって、後半部分はダークでシリアス。このギャップが、スリルを高める効果を創り出していたと思います
 乙一の『夏と花火とわたしの死体』を想起しました。森博嗣から乙一を連想するなんて考えてもいなかったので、少々驚きました。
 どういった点が似ていたかというと、1.語り手が子供、2.子供の思考力が正当に高い、3.残酷・グロテスクな展開を子供が淡々と語る、という点です。特に2と3が重要な要素かと思います。

 何となくですが、中高生の時にこういった本を読んでいると、エンタメ小説の世界にのめり込みやすくなると思います。そういった意味でとても良い本だと思いました。

 あと、装丁は90点。
| きのこ | 小説 | 14:56 | comments(0) | - |

一番上へ